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カレワラ

2010年7月10日 (土)

カレワラ(32) カレワラ<第四の歌>の8

カレワラ<第四の歌>の8

けれど流れが地に着いたとき
三つの広い川になった
罪の川だ、純粋の
涙でできた水の流れ
目尻から溢れ出てきた
後悔いっぱいの母からの

そしてこれらの三つの流れが
とめどない三つの滝に
そしてそれら各々に
三つの小島が隆起してきた
小島の各々
金の丘でき
そしてその丘の上
金の三本白樺生えた
そしてその枝一番上に
三羽の金のカッコウが座った
普通のカッコウより良く鳴くカッコウ

一番目は「愛!愛!」と鳴いた
「花婿!花婿!」と二番目鳴いた
「幸福!幸福!」と三番目が鳴いた

「愛!愛!」と鳴いた鳥は
三ヵ月鳴き続けた
愛のなかった娘のために
海に冷たく寝ている娘に

「花婿!花婿!」と鳴いた鳥は
途切れもせずに半年鳴いた
取り残された花婿のため
深い悲しみ持って座った

「幸福!幸福!」と鳴いた鳥は
一生ずっと鳴き続けた
不幸になった母のために
永久に泣き続ける彼女のために

それを聞いた母は言った
カッコウの鳴き声に応えて
「かわいそうな私はもはや
 カッコウなんぞに耳を貸すまい
 カッコウ鳴くたび
 心が揺れる
 私の目には涙が溢れ
 私の頬の上を伝い
 筋なすじゅず球
 豆滑るよう
 私の人生一腕分も短くなってしまったのだ
 体は真っ二つに年取り割れて
 体中が傷に苦しむ
 春のカッコウ鳴くのを聞くとき!」

カレワラ(31) カレワラ<第四の歌>の7

カレワラ<第四の歌>の7

そして彼は走り始めた
ベルトのように地面の上を
長い前脚、前に突き出し
すべての力で全力疾走
森の中を一直線
アイノの家にたどり着くまで

彼はサウナに向かって行った
敷居のところでしゃがんで待った
そこに居た娘はみんな
枝を振って彼を脅した
「このごろつきめ、お前は選べ
 茹でられたいか、焼かれたいか
 家長のための晩餐に
 あるいは母の朝食に?
 おやつになるのか娘のために?
 それとも息子の夕食か?」

兎はじっとにらみ返した
そして答に罪は無かった
「煮込みになりに来たのではない
 私は他の用事があるのだ
 私は知らせを持ってきたのだ
 言わねばならぬことがあるから。
 彼女は死んだ、綺麗なアイノ
 彼女は居ない、溺れてしまった
 銀の飾りをつけて死んだ
 錫のベルトを締めて死んだ
 彼女の海の底に沈んだ
 入り江の波の下のところに
 魚といっしょにくらすために
 魚すべての愛を受けて」

すると母は嘆き始めた
頬の上を涙が洗った
苦しみの中、嘆いて泣いた
「かわいそうな母、気をつけよ
 あなたの娘をだますんじゃない
 あなたの娘を説得するな
 たとえ世界だどうなろうとも
 意思に反して結婚させるな
 私がやってしまったように
 私が娘を育てたときに
 私の小鳥を育てたときに」

嘆きの涙は止まることなく
涙の後に涙が流れ
彼女の青い目から次々
彼女の白い頬を下った

嘆きの涙は止まることなく
涙の後に涙が流れ
彼女の白い頬を下り
右の乳房を伝っていった
嘆きの涙は止まることなく
涙の後に涙が流れ
右の乳房を伝っていった
彼女の綺麗なスカートにまで

嘆きの涙は止まることなく
涙の後に涙が流れ
彼女の綺麗なスカート伝わり
彼女の赤い靴下にまで

嘆きの涙は止まることなく
涙の後に涙が流れ
彼女の赤い靴下伝わり
金の靴紐まで下りた

嘆きの涙は止まることなく
涙の後に涙が流れ
金の靴費もどっぷり浸した
彼女の足元水溜りができ
近くの地面にまで下りて
他の水分と混ざり合った

カレワラ(30) カレワラ<第四の歌>の6

カレワラ<第四の歌>の6

 私は体を洗いに来たの
 広く開けた海の中へ
 そしてそれが私の崩壊
 小さな鳩を死が捕まえた
 私の兄弟これからずっと
 世界のほかのどこかはともかく
 彼等の馬に水をやらない
 ここの岸辺では絶対に!

 私は体を洗いに来たの
 広く開けた海の中へ
 そしてそれが私の崩壊
 小さな鳩を死が捕まえた
 私の姉妹はこれからずっと
 世界のほかのどこかはともかく
 ここの水で顔洗わない
 この入り江の桟橋の上!

 私の心の鼓動の如く
 深みにたゆたう魚たちは
 私の遊び相手の一部
 岸辺のとげとげ枝の各々
 私の壊れた胸の骨
 そこに生えた草は各々
 私の髪が抜け落ちたもの」

そして彼女は生を終えた
そうして綺麗な小鳥は逝った
けれど誰がそれを知らせる?
そこで起こった悲しい出来事
近しい者へのその知らせ
綺麗な娘の家の者に?

熊が知らせを持ってゆくのか
近しい者に伝えるのか
けれど熊はそれを望まず
家畜の群れに向かって去った
だったら誰がそれを伝える?
起きてしまった悲しい出来事
近しい者に伝えに行くのか
綺麗な娘の家族の家へ?

そこでそれは狼になり
悲しい出来事伝えるものは
でも狼は望まなかった
彼は羊の群れへと去った

それでは誰がそれを伝える?
そこで起こった悲しい出来事
けれども狐は望まなかった
彼はガチョウの群れへと去った

それでは誰がそれを知らせに
そこで起こった悲しい出来事
近しい者に伝えに行くのか
綺麗な娘の家族のところへ?

そして兎がその役ついた
悲しい出来事伝えるための
小ざかしげに兎は言った
「本件うまく処理してこよう」

カレワラ(29) カレワラ<第四の歌>の5

カレワラ<第四の歌>の5

「おお、おお、私の心が痛いわ
 おお、おお、頭が爆発しそう
 痛いなんてもんじゃないわ
 こんなにひどい痛みはないわ
 かわいそうな小さな私
 悲しみ全てに打ちのめされて
 この人生から引き剥がされて
 人生悲劇に引き裂かれて
 でも今がそのとき、私は思うの
 この世にさよなら、手を振って
 死者の国へ旅立つときだと
 私を地下にもぐらせるのよ
 パパは悲しむことなぞ無いわ
 ママも多分悲しくならない
 小さな妹泣くかもしれない
 あるいは私の兄さん泣くかも
 湖の中私が入れば
 湖水に私の身を任せ
 水面のずっと下深みまで
 水底深く黒い泥まで」

そして彼女は一日二日
三日の晩まで歩き続けて
海の岬にたどり着いた
イグサの生えたそこの岸辺
そこで暗い夜が訪れ
彼女の上を暗闇覆った

娘は夕べに嘆き続け
夜を通して泣きじゃくった
水辺にあった岩の上で
広い湾の深まったところ
翌朝とても早い時間
彼女は岬の外を眺めた
そこには三人若い女
海の波にもまれて浮いて
娘アイノは四人目に
そして五人目柳の枝が

彼女は肌着を柳にかけてた
ハコヤナギにはスカートかけて
地面の上に靴下置いて
平らな岩に靴を置いて
砂の上に真珠を捨てて
岸辺の岩に指輪を投げた

入り江の真ん中岩礁あって
ぴかぴか輝き光っていたのだ

娘はそこまで泳いでいこうと
そこの上に乗ろうとしたのだ

彼女はそこへたどり着いて
そこに座って休もうとした
いろんな形の岩の上で
金に輝く平らな岩板
けれどそのときそれは沈み
岩礁全部が底まで沈んだ
そして娘アイノも一緒に
岩に座った彼女も一緒に

こうして哀れな小鳥は消えた
こうしてアイノは地下へ行った
間近に近づく市を見た彼女
こんな言葉をつぶやいてみた
「私は体を洗いに来たの
 広く開けた海の中へ
 そしてそれが私の崩壊
 小さな鳩を死が捕まえた
 パパは多分これからずっと
 網の漁などしないはずよ
 たとえ世界のどこだとしても
 ここの入り江では絶対に!

 私は体を洗いに来たの
 広く開けた海の中で
 そしてそれば私の崩壊
 小さな鳩を死が捕まえた
 ママは多分これからずっと
 たとえ世界のどこだとしても
 ここからパンの水を汲まない
 なじみのここの入り江からは!

カレワラ(28) カレワラ<第四の歌>の4

 カレワラ<第四の歌>の4

 私自身はとっても暗い
 思いにとらわれ
 日がな一日
 茂みに這い込み
 草葉にもつれ
 枝葉に転がり
 私の心はタールの如く
 松脂よりも真っ黒で

 そうよ、昔はもっと良かった
 もっと運命幸福だった
 もしも生まれていなかったのなら
 もしもすぐに生き止めたなら
 こんな命節約できた
 悲しい現世に居なくて済んだ
 もしも一週間で死んだとしたら
 もしも八日間だけ生きたら
 そんなにいろいろ要りはしない
 ほんのちょっぴり麻が要るだけ
 地面に掘った小さな穴だけ
 ママはちょっとめそめそするかも
 パパも多分、でもママほどでなく
 兄さんなんか全然泣かない」

その日一日また次の日も
彼女は泣いて嘆き続けた
だから母はこう尋ねた
「なぜに泣くの、可愛い娘
 なにがそんなに悲しいの?」
「私、不運な娘だから
 とってもそれが悲しいの」
 私をお嫁に出してしまって
 あなたの娘をあげてしまった
 ぶるぶる震える年寄りなんぞに 
 自分の足で立ってられない
 私は杖になりにいくの
 お年寄りの世話するために
 海に投げてもらった方が
 ずっと良いわ、魚の中に
 コクチマスも喜ぶはずよ
 魚みんなの人気者
 年寄りなんかに嫁ぐよりは
 おじいさんの妻になるより
 靴下はこうと躓き転んで
 棒のように鼻で立つ奴」

それから彼女は坂の方へ
食糧倉庫の中に入った
それから一番良い箱を開け
鍵をはずして蓋を開けた
そこに彼女は服を見つけた
六つの金の飾り帯
スカート七枚そこにあった
彼女はそれらを身に着けてみた
ひとつひとつ試してみたのだ
額に金の飾りをつけて
銀で髪を飾ってみて
青い絹の紐を結び
赤いリボンもつけてみた
そして全部着終わってから
彼女は野原を渡っていった
草地を過ぎて湿地を越えて
荒野を越えて未開の地へ
小さな声で歌口ずさみ
歩みとともに鼻歌歌った 

カレワラ(27) カレワラ<第四の歌>の3

カレワラ<第四の歌>の3

 ねえ、私自身が若いときに
 そうよ、私も女の子だった
 木苺摘みに行ったときに
 森の中の坂のところで
 手仕事している音を聞いたの
 太陽の娘と月の娘
 離れた森の暖かなとこ
 坂が青みを帯びてるところ
 
 そこに行ってそっと見たの
 とても近くによってみたの
 それから彼等にお願いしたの
 ささやかな夢、言ってみたの
 お姉さま方、太陽と月の
 金と銀をくださいませんか
 私はとても貧乏なので
 贈り物が欲しいのですが

 月の娘は金をくれた
 太陽の娘は銀をくれた
 金は私の額にかけた
 太陽の銀で私を飾った
 小さな花となって私は
 喜び勇んで家に戻った

 そして一日、二日が経った
 そして早くも三日目にして
 私は飾りを取ってしまった
 金も銀も両方ともに
 すべてを卓の上に置いた
 それから箱の中にしまった
 そうよ、そこに入ったままなの
 再びそれを取り出すことなく
 額に絹の紐を結び
 金で自分を飾りつけて
 首の周りに真珠をまとい
 金の十字架胸にお飾り
 一番綺麗な麻を着なさい
 一番素敵な麻のブラウス
 厚い生地のスカート選んで
 絹のベルトを結びなさい
 指に金の指輪をはめて
 それから地面を越えて歩いて
 私達のところへおいで
 家族みなの目の楽しみに
 そうよ、親戚中のために
 お前は花のように輝き
 木苺同様赤みを見せて
 前よりずっと綺麗になって
 誰よりもっと立派になるのよ!」

母はそうして娘を慰め
楽しい考えわきたてようと。
娘は助言に従うことなく
耳の中を素通りさせて
涙のままに庭を歩いて
さらに泣いて嘆き悲しみ
空に向かって叫んでみたり
声に出してつぶやいた:
「元気でいたってそれでどうなる?
 幸福なんて忘れてしまった
 そうよ、元気な人の考え
 楽しい、幸福、そんな気分
 それは波の音のようで
 池の中の泡のよう
 悲しい気持ちはどんなだった?
 世界が沈むような気分は?
 そうよ、それは影の雪
 深い井戸の水のよう。

カレワラ(26) カレワラ<第四の歌>の2

カレワラ<第四の歌>の2

家の中の彼女の姉さん
金の胴着を編んでいたが
「あら、かわいそう、可愛い妹
 なんでそんなにひどく泣くの?」

「ええ、泣くことのほかなにもできない
 これには深いわけがあるのよ!
 ねえねえ、姉さん、聞いてちょうだい
 私が悲しいそのわけを
 すべてのきんをなくしちゃったの
 私の銀の櫛までも
 青い絹のスカーフもまた
 髪の赤いリボンもみんな」

クリーム作りをしていた母は
台所の段に座って
「でもまあどうしてそんな
 ことになったの、可愛い娘よ
 なんでそんなに泣いてるの?」

「どうにもこうにも、母さん、母さん、
 私を生んでくれた母さん
 私の悲しみ耐え切れないほど
 なんとも大きな心配事なの!
 ねえねえ、きいてちょうだい、母さん
 なんで私が悲しいのかを:
 私は森で枝を切ってた
 サウナの中で使うための
 一つの束は父さんのため
 それから一束、母さんに
 そして三つ目、束ねたの
 私の愛する兄さんのため
 それからお家に帰ろうとして
 野原の中の近道とったら
 カレヴァの息子のオスモが居たの
 狭い谷間の焼畑のわき
 そして彼はこう話したの:
「かわいそうな娘よ、お前
 お前は誰のためにでもなく
 私のために飾りをつける
 首の周りに真珠をつけて
 胸には十字架
 三つ編みに絹」

 そのとき私は十字架ちぎり
 首から真珠を引きちぎったの
 額の青いスカーフとって
 髪の赤いリボンも取って
 みんな落ちるままに任せて
 そのまま林の中に置いて
 私は彼にこう答えたの:
 あなたにでもなく誰にでもなく
 飾りをつけろと言われはしない
 髪を結ぶこともしない
 綺麗な服など見向きもしない
 美味しいお菓子なんぞ食べない
 擦り切れ服を身にまとって
 残り物のパンを食べるわ
 私の優しい父さんと
 優しい母さんの居る家ならば」

すると母は口を開き
娘を慰めこう言った:
「もう悲しむでない、私の娘
 私は若くてお前を生んだ
 バターを食べれば丸くなれる
 他の誰よりもふっくらと
 次に豚肉食べ続ければ
 他の誰よりも重くなれる
 そして三年濃い牛乳で
 他の誰よりも綺麗になれる
 道にたむろの若者達の
 一番良い人にぴったりの

 そこには宝がいっぱい溢れ
 宝石箱が数々並ぶ
 一番大きな箱を開けて
 一番立派な蓋がついてる
 そこには金のベルトが三本
 青いショールが七枚入ってる
 太陽の娘が縫ったものなの
 月の娘が織ったものなの

カレワラ(25) カレワラ<第四の歌>の1

カレワラ<第四の歌>の1

ヨウケハイネンの妹アイノ
あるとき森で枝を折ってた
サウナの中で使うために
最初に彼女は父のために
それから母へ枝を束ねた
三番目のは勇者の兄へ

それから彼女は家路を急いだ
茂みをかき分け道を拓いた
そのとき我等がヴァイネモイネン
林の中のアイノを見かけた
緑の中でとても綺麗な
そして彼は話しかけた
「娘さんよ、小さな娘よ
 他の者ではなく私のための
 装いなのだといっておくれ
 飾りに喜ぶあなたは素敵だ
 首には真珠の首飾り
 胸に十字架、編んだ髪には
 絹のリボンが綺麗に結ばれ」

娘は応えて言うにはこうで:
「あなたでもなく他の誰でもなく
 飾りをつけろと言われてないわ
 髪にリボンをつけることも
 私は綺麗な服は要らない
 美味しいお菓子も食べたくない
 擦り切れちゃった服で良いの
 残り物のパンで良いの
 優しい父さん、優しい母さん
 揃っている私の家なら」

そして彼女は十字架ちぎり
指から指輪を抜いてしまい
首から真珠をはずしてしまい
赤いリボンを取ってしまい
それら周りに落ちるままに
林の中に残していった

涙ながらに彼女は家へ
泣きじゃくって庭へ入った
窓辺で斧の手入れをしていた
父は娘に話しかけた
「おやおや可愛い娘よなぜに
 そんなにひどく泣いているのだ」
「わけもなしに泣いてはいないわ
 父さん、きいて、涙のわけを
 私の飾りを落としてしまった
 ベルトの飾りも失った
 銀の十字架胸から落ちて
 銅のかがり腰から落ちた」

門の近くに座った兄は
くびきの部品を作っていたが
「おやおや可愛い妹なぜに
 そこでそんなに泣いているんだ」

「ほかにできることなぞ無いわ
 わけがあって嘆いているの!
 でもねえ、兄さん、聞いてちょうだい
 私がとても悲しいわけを:
 指輪は私の指からすべり
 首の飾りは落ちてしまった
 金の指輪も銀の真珠も
 どちらもなくしてしまったの」

カレワラ(24) カレワラ<第三の歌>の8

カレワラ<第三の歌>の8

ヨウケハイネン自由になった
顎が泥から浮き上がって
髭はヘドロを捨てて光った
馬は岩から飛び上がり
橇は木山の中から解かれ
鞭は岸の草から見つかる

よろよろ彼は橇に這いずり
床に背中をひしっと押し付け
悲しい気持ちで旅立った
鉛のように心重たく
かあさんのところへ戻っていった
優しい両親待つところ

例えようなく飛んでいった
不思議な、奇妙な彼の旅
橇は蔵にぶつかり砕け
小屋に柵が当たって砕ける
彼の母さん、変だと気づき
とうさん様子見に外に出た
「お前が自分で橇を壊した
 柵をわざと砕いてしまった
 自分の家に戻るというに
 なんとひどいやり方するのだ!」

若いヨウケハイネン泣いて
とどめなくも流れるほどに
悲痛に見るに忍びないほど
帽子も頭もがっくり落とし
唇二重に折りたたまれて
鼻は口まで垂れ下がって

最初の問いをしたのはかあさん
彼を生んだ優しいかあさん
「どうして泣いてるかわいい坊や
 私の息子、何があったの?
 何で口が曲がっているの?
 鼻が口まで下がっているの?」

若きヨウケハイネン答えて
「ああ、ああ、かあさん、ぼくのかあさん
 これには大きなわけがあるんだ
 ひどいことが起こったんだ
 だから僕は嘆いているんだ
 涙のほかにはしようがないんだ!

 僕が悲しむことはこうだ
 これからずっと死を迎えるまで
 僕は妹を売ってしまった
 かあさん愛する若きアイノを
 歌の名手のヴァイネモイネンに
 彼を世話する妻として
 もうろくじじいのよぼよぼじじい
 太陽の娘を凍える爺に」

彼の母はなんとしたか?
握り手をして喜び勇んだ
そしてこう若者に言った
「ねえ、ねえ、かわいい私の坊や
 こんなことで泣くなんて!
 これはちっとも悲しくないこと
 嘆くことなどありはしない
 私はずっと前から望んだ
 思い出せるほどずっと前から
 お近づきになりたいあの方
 子孫に彼の血を与えたい
 彼を娘婿にできたら
 偉大な知恵者親類にできたら」

若きヨウケハイネン妹
心底動揺、激しく嘆く
毎日毎日涙を流し
心の底から悲しみ溢れ
困って惑って涙に暮れた

母は娘に尋ねて問うて
「なんで泣くの?かわいいアイノ
 そんな素敵な婚約者得て
 名前を知られたお金持ち
 お前は窓辺に座っていられる
 お屋敷の中、おしゃべりをして」

涙ながらに娘は答えて
「私を生んだ優しいかあさん!
 私が悲しむ理由はないと?
 私の三つ編みなくさなければ
 薫り高いたっぷりの髪
 太陽のごとく金に光る
 それを隠さなければならない
 妻の頭巾の中に押し込み

 恋しさやめることはできず
 家を照らす太陽のよう
 暗きを照らす月のごとく
 ここにあるものみんな素敵
 若き日々の真っ只中に
 とうさんの窓の下にある
 私の兄の作業の坂で」

母は娘に言って聞かせて
「気が狂うほど泣いてるお前

 そんな涙はどこかにおやり!
 悲しむことなどありはしない
 神は世界の別のところで
 太陽輝くようにもしたのさ
 とうさんの窓の下だけでなく
 柵のところの兄だけでなく
 藪と実をもつ坂があるよ
 野いちご溢れる焼畑あるさ
 お前のように雀も見つける
 私たちのところから遠く
 とうさんの焼畑からずっと遠く
 お前のにいさん焼いたばかりの
 新たな焼畑の遥か遠くに」

カレワラ(23) カレワラ<第三の歌>の7

カレワラ<第三の歌>の7

前と同じくヴァイネモイネン
「お前のお馬ちゃんなんぞもらって
 私が喜んだりなんぞするか
 そんなのなくてもまったくかまわぬ
 私自身の馬もたくさん
 厩の棚をけっぽり続ける
 すべての入り口立ち続け
 手入れの済んだ輝く馬さ
 腹と背にはまだらの模様の」
若きヨウケハイネン、ただただ
地面深くで歌えるだけだ

ヨウケハイネン、「おお」と呻いた
「おお、おお、賢きヴァイネモイネン
 あなたの言葉の力を弱めて
 言葉の鎖をどうぞ弱めて
 かぶとに金貨をいっぱい詰めて
 銀の帽子を差し上げるから
 すべて父がお届けするから
 戦い済んで、戻ってすぐに」

ヴァイネモイネン、いつものごとく
「私は銀など無くても済むのだ
 惨めな奴め、金とて同じだ
 そんなものはいくらでもある
 重みで板がしなるくらいだ
 綺麗な箱とて同じことだ
 金は月のごとく古く
 銀は同じく太陽のごとく」
若いヨウケハイネン、さらに
地面の中に沈んでしまった

若いヨウケハイネン続いて
「おお、賢きあなた、ヴァイネモイネン
 私をここから助けてください
 私に再び自由をください
 収穫すべてを差し上げますから
 私の頭の代わりに砂地を
 私を生かし続けてください」

ヴァイネモイネン、少しも揺るがず
「お前の収穫なんぞ要らぬわ
 大馬鹿者め、砂地だとは!
 私はそんなものは要らぬ、
 畑なんぞ、そこら中にある
 収穫なんぞ山を成してる
 もっと良い畑ばかりだ
 大きな大きな収穫の山だ」
彼はさらに歌い続けて
ますます深くヨウケハイネン 
地面の中に沈んでいった

若きヨウケハイネン悟った
事態はかなり悪化している
あごの半ば泥に沈んで
髭はひどくぴしゃぴしゃいってる
苔が口の中に入り
古い流木口に刺さる

ヨウケハイネン悲嘆にくれて
悲痛な声で大きく叫んだ
「おお、おお、賢きヴァイネモイネン
 比類の無いほど見聞広き
 逆の歌を歌ってください
 ちっぽけ命を救ってください
 沼の底の泥から出して!
 脚の間に水が流れる
 砂が私の視野をさえぎる

 言葉の力をやわらげてくれ
 縛りを緩めてくれるのだったら
 私の妹アイノを贈ろう
 母の愛する娘を送ろう
 あなたの家の掃除のために
 床を掃いて、器を洗い
 寝具を整え、織物織って
 あなたに黄色い上着を作ろう
 蜂蜜菓子もあなたに焼こう」

それをきいたヴァイネモイネン
とってもびっくり喜んだ
ヨウケハイネン妹来れば
秋の金の輝きとなろう

彼は喜び、岩に座った
歌に響きを与えた岩に
しばらく歌って、ひとつ、ふたつと
そして三つ目、彼は歌って
魔法の歌の力を抜いた
以前の縛りを緩めて解いた
 

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