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北欧の詩

2011年10月 7日 (金)

北欧の詩(124)<ノーベル賞記念>「嵐」

トーマス・トランストレーメル氏のノーベル文学賞受賞を記念して、、生きてる人の詩を訳して勝手に公表すると厳密には著作権侵害問題の危険はありますがお祝いとしてアップしちゃいませう。

「嵐」

突然、放浪者はここで古い柏の巨木に出会う
何マイルにも達する角を持つへら鹿が石になったような
九月の海の蒼黒い砦を前に

北からの嵐
ナナカマドの房が熟す時、暗闇の中で目覚めて
人は星座が樹の上高くこぼれ落ちた星のかけらを
音高く踏みつけるのを聞く

(トーマス・トランストレーメル、Tomas Transtromer, スウェーデン,1931-, 'Storm' i "Dikter och prosa 1954-2004")

2011年1月16日 (日)

北欧の詩(123)「活動中」

「活動中」

いっぱいいっぱいの日、そんな日は最高じゃない

最高の日は渇きの日

私達の旅にはもちろん目的地と意味があるだろう

でも、骨折りの価値に値するのは、その過程だ

最高の目的地は夜を継ぐ休憩

そこでは焚き火に火がつけられ、急いでパンが千切られる

深く眠ったその場所で

眠りは安定したものになり、夢は歌で満ちる

さあ出発、出発!新しい日が明ける

私達の大きな冒険には終わりが無い

カーリン・ボイエ(Karin Boye、スウェーデン、1900-1941、'I rörelse',"Härdarna" 1927)

********************

<オリジナルは脚韻が揃っているので、訳でも揃えてみましたが、あまり満足いかない。。>

「活動中」

いっぱいいっぱいの日、最高の日になんかならないのはそんな日

最高の日は渇きの日

私達の旅にはもちろん目標と意味があるだろう

でも、骨折りの価値があるのは、その過程だろう

最高の目的地は夜中続く休憩のとき

焚き火が熾(おこ)され、急いでパンが千切られるとき

そこでは、ただただ深く眠る

眠りは安定し、夢は歌で満ちる

さあ出発、出発!新しい日の夜明けだから

私達の大きな冒険は終わりの無いものだから

2010年12月17日 (金)

北欧の詩(122) 「見知らぬ国々」

見知らぬ国々

どこにも祖国を持たない私の魂は

見知らぬ国々をとても愛してきた

遠い国には大きな岩があって

私の思考はそこに憩う

私の魂という、その硬い黒板に

珍しい言葉を書いたのはひとりの異邦人

日に夜に私はそこに横たわり考える

起こらなかった事々を

私の渇いた魂があるとき飲み物を得たことを

 エディス・セーデルグラン Edith Södergran(フィンランド、1892-1923)、'De flämmande länderna' i "Dikter" 1916)

2010年9月 9日 (木)

北欧の詩(121) 「街の中尉さん」

「街の中尉さん」

あそこにやってくるのは誰、馬に乗ってくるのは誰!

おお、すべての時を横切って、

ほら、中尉が馬に乗ってる、

ほら窓には婦人達、

角には女中達、

ほら中尉は王子のように馬に乗ってる、

おお、神様、白いベストの彼はなんと美しいのでしょう!

太陽が馬に乗った中尉を照らしている

ほらブーツが輝いている、

ピカピカでとてもきれい、

彼は背筋をまっすぐに伸ばし、

彼はとても引き締まっていて、

彼の上着は最後のもの、きりりとしている。

いいえ、見て、いいえ、見て、見て、見て!

ほら、中尉はかすかに微笑んでいる、穏やかに、牧師のように、

ほら、中尉が口ひげを捻って

馬に乗ってる、

彼は窓を見上げて挨拶をする、

彼は角を見下ろして頷く

そして最も素晴らしい王子のように馬に座っている

おお、神様、白いベストの彼はなんと美しいのでしょう!

 グスタフ・フレーディング(Gustaf Fröding、スウェーデン、1860-1911)、'Stadens löjtnant' 1894 i ”Nya dikter”

2010年8月26日 (木)

北欧の詩(120) 「慰め」

「慰め」

ある男が入り込んだ深い森の中

夜が近づいてくるように、悲しみがやってくるとき、

遠くでちかちかとちらつく光を誰が信じるだろう?

冗談で光り、冗談で輝く、

誰がちょうちんを持った男に案内人を付ける?

いいや、悲しみを全うしろ、心が無感覚になるまで

疲労の眠りの中、私達は慰めを得る

-歩いては眠る放浪者のように、

苔の柔らかい羽根布団で安らかに眠る、

そして彼が泡の夢から目覚めるとき

森の影から朝の太陽が昇るのを見るのだ

グスタフ・フレーディング(Gustaf Froring、スウェーデン、18601911)、’Trost’ i

”Nya Dikter” 1894

2010年8月11日 (水)

北欧の詩(119) 「夜明けに」

「夜明けに」

人よ、人よ、

天から雨が降ってくるように

私は地から立ちあがる。

祝福された私の目は星を見、

私は右手に稲妻を捕える、

力、力が私の唇から溢れ出る。

運命が私に上ってくる太陽を引き合わせる。

私達の周りの広がりに挨拶をする-

新しい一日が動き出す。

   エディス・セーデルグラン Edith Södergran(フィンランド、1892-1923)、'Vid Soluppgång' i "Framtidens skugga" 1920

2010年7月22日 (木)

北欧の詩(118) 「そして今は夜。。」

「そして今は夜。。」

そして今は夜、尾根と湿原の上に

月は橋の傍らの家の上高くに。

小さな星が優しい灯台のように輝く

王座の下の青い海に、

星々は私達に愛と夢と春をもたらす

思慕と裏切りと産みの涙も

私達を狂人にする熱中も私達に与える、

高く褒め称えられ、歌に歌われ、そして待ち伏せの罠に満ちているもの。

ダン・アンデション(Dan Andersson、スウェーデン、1888-1920)、‘Och  nu var det natt…1918-1920  i Efterlämnade dikter

2010年7月10日 (土)

北欧の詩(117) 「将軍」

「将軍」

そこに将軍が重々しく座っている
働いてきた年月に体を曲げて
樫の幹に寄りかかって休息している
そして時が過ぎ行くのを見ている。
彼は一人の沈黙のナポレオン
そのすべての栄光はここに
野に谷に埋められ
もう目を開くこともない。
そして平原の地には武器が散らばっている
ほら、地面は錆びた鋼で光っており
流された血でびしょびしょになっている
戦車が燃え盛った地面。

けれど春、花が咲くときには、ヒースと砂利に混じって
ぶんぶんとアブが老人の足元に飛ぶ、
そして彼は日の光に目をくらませ
木の根に崩れ落ちる。
そしてそのとき彼の心臓が破裂する、そしてすぐに暗くなる
彼の成した偉大なすべてのことに思いをはせる暇も無く
彼は冷えていく体でしかなく
春の花の中の死体でしかない
私は彼が誰だか忘れた-誰もそれを書き残さなかった
彼の偉業-それを判定する神はいなかった

 ダン・アンデション(Dan Andersson、スウェーデン、1888-1920)、‘Generalen’

北欧の詩(116) 「病気の娘の歌」

「病気の娘の歌」

過ぎ去った日々の沈黙の記憶
心の奥深く文句を言う
あなたが言いたいことを私は多分わかると思うわ
ああ、あなたは小鳥のように歌っている
冷たい11月に
彼は自分を北の森に置き忘れてしまったのだわ

彼が凍えた翼を震わせるのなら
彼の切なる思いが南に向かうのなら
霧から遠く、雪から遠く
もうだめよ。旅立つにはもう遅いわ!
もし彼が飛び去るのなら
凍える雨の下で死んでしまうだけだわ

おお、なにもあなたを助けられないのなら
黙ってあなたを寝かせる方が良いわ
小枝の下に、やっと、静かに
鳥よ、胸を寄せて
苔に包まれるように、目を閉じて
そして歌うように息を吐いて!

カール=ダーヴィッド・アフ・ヴィルセーン(Carl David af Wirsen、スウェーデン、1842-1917)、“Den Sjuka flickans sång”1882

北欧の詩(115) 「少女の夢」

「少女の夢」

(ドイツ語より)

子どものときはよく泣いたわ、
なぜか知らずに、
今はしばしば笑わなければならない、
今もなぜか知らないけれど。

私の琴の糸をつかむ
神秘的な見知らぬ手、
別の手が私を導く
遠くの見知らぬ国へ。

とてもおかしな考え、
あなたが何かなんてわからないわ、
私には言葉も無い、
私の周りに金色の柵を作る
魔法で私はその中に閉じ込められる。

私にはあなた、人生がわからない
わからないわ、
どんなにがんばったって、
私の一日の目的がどこにあるるかなんて。

子どものときはよく泣いたわ、
なぜか知らずに、
今はしばしば笑わなければならない、
今もなぜか知らないけれど。

カール=ヨーハン・ガブリエルソン(Karl Johan Gabrielsson、スウェーデン、1861-1901)、Flickodrömmeri, 1900

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