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2013年9月

2013年9月30日 (月)

いろいろ(448)「砂漠」

伊坂幸太郎「砂漠」を読んだ。仙台の国立大学(となれば東北大学でしょうね)法学部に通う男子学生3人、女子学生2人の物語。大学時代は青春のオアシス、やがて社会=砂漠に出ていくことになる。空き巣との対決が出てきたり、超能力がでてきたり、麻雀やボーリングなんかも登場。

昨日の本よりずっと読みやすかった。登場人物の描写がとても良い。冷たい美女が一番ヘンな男子学生に振られたり、空き巣事件で片腕を失った男子学生が密かにキックボクシングで恨みの相手を倒したり、ま、ちょっと「小説ならでは」のところもありますが。

卒業式での学長の言葉。「学生時代を思い出して懐かしがるのは構わないが、あのときはよかったな、オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対に考えるな。人間にとって最大の贅沢とは、人間関係の贅沢のことである」。後半はサンテグジュペリの言葉だそうですが。

学生時代、懐かしいな。でも、大学~大学院は女子ばかりだったから、高校時代の方がもっと「青春」だったな。今生きている社会が「砂漠」だとは思わないけど、やっぱり、当時の方がみずみずしかったかも。

2013年9月29日 (日)

いろいろ(447)「重力ピエロ」

伊坂幸太郎「重力ピエロ」を読んだ。美人の母親が若者にレイプされて妊娠した結果生まれた弟(春という名)はハンサムで変わったやつ。泉水(イズミ)という名の兄は遺伝子検査を行う会社員。市役所に勤めていた父はがんに侵され、手術を待っているところ。仙台の街に放火事件が次々と起き、その脇にはグラフィティ-の落書きが。それを消すのを商売にしている春と兄と父が犯人探し。

父親殺しとか、ガンとか、兄弟愛とか、かなり重いテーマが伊坂調のユーモラスな文章で淡々と綴られていく。遺伝子の講釈がちょっと鼻につくけれどまあ我慢できなくもない。かなり違反の謎解きだけれど、登場人物がビビッドなので許す。

ハードな一週間だったので、一日横になっていてようやく回復基調。読書するにも頭が重く感じられて普段だったら数時間で読みほすの文庫本でも一日がかりになっちゃいますね。

明日はおよばれ。帰ってからまた寝込むかなぁ。

2013年9月23日 (月)

いろいろ(446)「塩の街」

有川浩「塩の街」を読んだ。ある日突然宇宙からの侵略者「塩」がやってくる。大きな塩の柱が立ち、塩の結晶を見た人は自分の体が塩になって死んでいく。両親を塩害で亡くした真奈は自衛官秋庭に拾われる。秋庭は塩の柱に飛行機(米軍の戦闘機)で突っ込んで世界を救うが、その動機は真奈への愛だった。

有川浩のデビュー作だそうだ。なんとも奇妙な設定だけど、登場人物が魅力あふれていて、よくこんなのが書けたなぁ、と感心。続く「空の中」もかなり奇妙だったけど。昨日読んだ「戦場のニーナ」に比べると、会話の力が全く違うことに気付く。なかにしさん、テーマはあなたの方がずっと重いけれど、やっぱり小説は読ませなくちゃいけないのですわ。

ひさびさに小説読んだけど、明日からはまたドトーの日々。秋雨の憂鬱も加味して。

2013年9月22日 (日)

いろいろ(445)「戦場のニーナ」

なかにし礼「戦場のニーナ」を読んだ。終戦時、ソ連軍は満州で日本軍を打ちのめす。皆殺しにしたはずのトーチカから幼児の声が。助け出された子どもはニーナと名付けられてエカテリンブルグで暮らすことになる。オペラ座の練習ピアニストとなった彼女の前にユダヤ人の指揮者が現れ、恋に落ちる。彼は亡命し、彼女は一人で老いてゆく。ある日、日本人がエカテルンブルグに遺骨収集にやってきて、彼女のルーツ探しに協力する。彼女が昔助け出された時に一緒にもち出された一枚の写真がカギとなり、やがて彼女はそのトーチカまでたどり着く。

筋はおもしろいのだけれど、いかんせん会話がちゃんとしてない(こんな話し方しないでしょ?さっきは敬語使ってていきなりタメ口になっちゃうなんて。。)。多分、先に先に話を進めたいと焦って筆が走っちゃったんだろうなぁ。その点がかなり残念。

満州、いつか訪ねたい。

2013年9月15日 (日)

いろいろ(444)「シロクマたちのダンス」

ウルフ・スタルク「シロクマたちのダンス」(Låt isbjörnarna dansa 菱木晃子:訳)を読んだ。学校の「落ちこぼれ」のラッセのパパは食肉加工職人。ママは看護師なんだけど、あるクリスマスに、ママは歯医者の新しい彼のところに引っ越す。彼の子どもを妊娠したから。ラッセもいやいや一緒についていくことに。新しいパパはラッセを「ちゃんとした子にする」賭けを学校の校長先生として(元々、彼らは友人同士だった<ハイソサエティの)毎日、ラッセの勉強をみてくれるようになる。
身なりもよくなり、勉強もできるようになったラッセ。でも、最終的に全部投げ出してパパのもとに帰る。

ユーモラスで、テンポがよくて、登場人物のキャラクターがよく書き分けられていてとても面白い小説。ちょっとぺーソスがある点が、さすがウルフ・スタルク。20年以上前の本だけど全然古くないっす。

それにしても訳者の献辞いり(個人に宛てた)の本がなんで国際図書館に?ま、いいんだけどね。。私もときどき何か書いてくださいと頼まれて自分の本にテキトーに献辞を書くけれど、その本がその後どっか別のところにいっちゃう、っていうのはなんとなく寂しい気もしますねぇ。。

これからもかなり忙しい日々が続く予定ではあるけど、ウルフ・スタルクの訳本は結構たくさん国際図書館に入っているみたいだし、これを返す時に別のを借りてこようと思ふ。

いろいろ(443)「辺境を旅ゆけば日本が見えた」

伊藤千尋「辺境を旅ゆけば日本が見えた」を読んだ。朝日新聞の記者だった著者がそれこそ世界の辺境を旅したことをまとめたエッセイの短編集。

ノルウェーやアイスランドや旧満州も「辺境」の中に入っている。おもしろかったのはイースター島で、なんでモアイ像が内陸を向いて立っているか、なぜ作りかけで放り出されているものがあるのか、なぜ一つ一つ表情が異なるのか、などという疑問に島の案内人がことごとくすっぱり答えて、モアイ像は当時住んでいた貴族の墓石だった。村を守るために内陸を向いている。貴族は耳飾りをつけていたので耳が長い。貴族と平民の戦いが起き、貴族が負けた。だから作りかけの像はそのまま放置された。というのだそうな。う~ん、そうだったのか。宇宙人を模しているものだったら、私も見に行きたいと思ってたんだけど。

こんな本読むと、旅に行きたい病がまたちょっとぶり返しますね。まあ、私の場合には旅の移動中が一番楽しく思えるんだけど。空港での待ち時間に感じる「永遠のエトランゼ気分」は寂しいけど結構いい感じですわん。

2013年9月13日 (金)

いろいろ(442)通訳な日々

ようやく金曜日。今週は通訳のお仕事が中心。「白血病」をリューマチと言い間違えたり(リウケミ、ってちょっとリューマチに聞こえません?。。LとRが違うかもしれないけど)、Fact(スウェ語ではFakta)を「事実」と訳したら、ちゃちゃが入って「ファクツ」と言い直したり、まあ、危うい通訳でありますが、それも今日の午前でおしまい。ふーっ。

でも、いつもと異なる分野だったので、いろいろ勉強になりました。普段は、エネルギーとか環境とかマクロの経済政策なんかが多いんだけどね。

最近は、スウェーデン側が、「英語で話した方がいいんじゃない?」といってくることが多いのだけど、英語だとやっぱりニュアンスというかビミョーなところが異なるんですよね。もっと大きい理由は私が英語が下手ということなんだけど。一つの言葉に詰まったときとか、どんぴしゃの訳がなくて工夫しなくちゃならない時に、スウェーデン語だったらそれこそ「学術用語」「専門用語」を知らなくても、素人の言葉で言い換えて、何を聞きたいのかを伝えることができるのに対し、英語だとドンピシャの言葉以外はなかなか通じないというか。。

スウェーデン人も、スウェーデン語だとスウェーデン国内で普通にしゃべっている気になるらしく、ひたすらしゃべり続けて通訳のために止まってくれなかったりします。英語だとことさらに短いセンテンスで止まったりするけど。スウェーデン語の方が早口になり、その分、一定時間内の情報量も増えます。だもんで、私は逐語訳ではなく意訳することが多いです。メモとる暇もほとんどなくなってしまうので(数字や年代を書きつけるのがやっと)。

まあ、本当はもっとプロフェッショナルな訓練を積まねばいけないんでしょうけどね。。今日の午後は別件のインタビュー(後で記事にする)に行き、夕方は将棋倶楽部に参加。忙しい一週間の最後も忙しい一日。

2013年9月 8日 (日)

いろいろ(441)Finnkampen

陸上競技。ダイヤモンドリーグ、世界選手権、スウェーデン選手権が終わって、シーズン最後は「フィンキャンペン」。これは100年近い歴史を持つフィンランドとスウェーデンだけが競うもの。ほとんどすべての種目に両国から3人ずつの選手が参加し、順位によって獲得したポイントの合計を比較する。2013年は初日(昨日)は男女ともスウェーデンがわずかにリード。多分スウェーデンが勝つんじゃないかな。

世界選手権のようなハイレベルでない種目もあるけど、フィンキャンペンでおもしろいのは4位とか5位の選手でもすごくうれしそうなのね。だってそれだけ自国の得点に貢献したんだから。というわけで思ったより楽しめるFinnkampen。今年はスウェーデン(ストックホルムのStadion)だったけど、来年はフィンランドで開催です。

オリムピックの東京開催が決まったようですね。フィンキャンペンくらいおもしろいといいんだけど。

2013年9月 4日 (水)

いろいろ(440)「スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか」

「スウェーデンは放射能汚染からどう社会を守っているのか」(高見幸子・佐藤吉宗:共訳)を読んだ。オリジナルと対照しながら。この題はちょっと言い過ぎで、オリジナルに忠実に訳すと「放射性物質が降下した場合の食料品生産」(Livsmedelsproduktionen vid nedfall av radioaktiva ämnen)となる。チェルノブイリの原発事故後の対応などを反省しながら、食糧庁、農業庁、国防研究所、放射線保護インスティテュート、国立農業大学などがまとめたレポート(2001年)。

オリジナルは10年以上前の本(訳本は2012年出版)だけど、学ぶところは多い。放射性物質がどのように降下し、どのように食品に吸収されるか、人間にどのような影響があるか、などは今でも変わらないし。たとえば調理の際に食材を茹でれば随分放射能が除去されるといった情報も。

スウェーデンは情報公開の原則が徹底している。正確に情報を伝えることが大事だと、この本でも強調されている。

それにしてもスウェーデン語(英語も)の専門用語に比べて日本語の専門用語って、わざとわかりにくくしてるんじゃないかと思うくらい「特殊」に感じる。だから多分、よい訳なのに、オリジナルのほうがずっと理解しやすいと思うんだろうな。

オリジナルも訳本もオススメでございます。

2013年9月 2日 (月)

いろいろ(439)「プロメテウスの罠」1&2

朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」1&2を読んだ。Amazonでみてみたらその後ずっと続いて出版されているみたいだけど、私がゲットできたのは国際図書館に入っていたこの2冊だけ、今のところは。朝日新聞での連載、まだ続いているのかな?

で、福島原発事故。政府の対応のまずさはスウェーデンにいてTVを追っていてもよく分かったけど、実際にものすごく混乱していた様子がこの本の中にも書いてある。管首相が自分のところに情報が上がってこないので、朝日新聞に「どうなってるのか教えてくれ」と連絡してきたとか。

原子力ムラの利権構造とか、被災した人の個別の様子とか、行き場のないお骨を抱えて困る住職の話とか、いろんな視点での「福島原発事故」の描写がある。高木仁三郎さんは20年近く前に福島原発事故を予言していたという=津波によるリスクを警告していたと。高木さんがスウェーデンの「もう一つのノーベル賞」を受賞した時の記念式典に私も行った。そのときにはただ「反原発運動をしている人」くらいの認識しか持っていなかった。もっとちゃんと知っておくべきだったと今日思った。「もうひとつのノーベル賞」(Right Livlihood)も先見の明があったのか。

Fukushimaは終わらない。

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