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2010年7月11日 (日)

北欧神話(76) 第二一章<ローケが追われる>(1)

第二一章<ローケが追われる>(1)

 オーデンが不在の間にアースゴードでは神々の憎しみが増していた。ローケを捕まえて、正当な罰を与えねばならない。彼は悪そのものであり、その前進を食い止めねばならない。
 ローケがヘーデルの手を操作して兄弟殺しを引き起こしたときから、彼はミッドゴードの荒れた山地に隠れ住んでいた。人が何かを建てられるところから最も離れた一番奥のところ、激しい流れの滝と冷たい湖に面して、彼は家を建てた。
 家には4つの扉があった。それぞれが東西南北に向かっていて、彼はどちらの方向も良く見ることができ、神々が彼を追ってきたらどの方向へもすぐ逃げられるようになっていた。
 発見され、囚われの身になるという心配はローケをひどく苦しめ、彼は四六時中ずっと可能な逃げ道について考えていた。けれども落ち着いて良い計画を立てるのは難しかった。冷たく、変化の無い山はローケを怖がらせた。ローケは徐々に、どこに隠れようと羽を持った神々のいろいろなスパイが彼を見つけ出すだろうと確信するようになった。カラス、鷹、鷲を見かけるたびに彼の心臓は止まりそうになった。
 彼は日中鮭に変身するようになり、水の中ですごす時間がどんどん長くなった。水の中に居れば羽を持ったスパイ達の目を気にせずに済む。夕方遅くになってからかれはようやく滝からあがって家にそっと入り、火の前に座って木の実を割った。彼が魚ですごしていることがわかれば神々は網をかけて捕まえようとするかもしれない。だからその網を逃れる方法を考えねば。ローケは自分で網を作り、それをだんだん目が詰まったものにした。彼はその網を水の中に入れてみて、肴がそれをのがれる一番の方法はそれを飛び越えることだと判断した。上流に向かって。漁師は網を持って上流に移動するのは難しいだろうから。
 ある晩オーデンが玉座に長く座って世界を見渡しているとき、彼は突然ローケが水からあがって山の中の家に入るのを見た。
 追われる動物のように感覚が鋭くなっているローケは、すぐに誰かに見られていることを感じた。彼は網を炎の中に投げ入れ、滝の暗い水の中へと急ぎ、また鮭に変身した。
 けれどもそれは遅すぎたのだった。アースゴードではオーデンがトールとティール、それに彼らの友人クヴァステルに使いを送っていた。ローケの隠れ家が明らかになったので、彼らは直ちにミッドゴードへ向かって出発した。
 神達がローケの家を見つけるまでにそれほど時間はかからなかったのだが、家はもぬけのからだった。
 賢いクヴァステルは家の中を見回し、ほとんど燃えつきかかっている火の中にヒントを見つけた。
「我々が探しているものについて、話すことにしよう」と彼は賢そうな笑い方で言った。

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