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2010年7月11日 (日)

北欧神話(71) 第十八章<バルデルが射殺される>(1)

第十八章<バルデルが射殺される>(1)

 オーデンはローケに罪を与えねばならないことがわかっていたが、今は、エーギルのところでのローケの信じられない振る舞いについて考えることよりももっと重要なことがあった。彼はバルデルを傷つけないという約束をすべての生き物、植物から取り付けている最中だったのだ。
 すべての約束が集まったので神々はそれがちゃんと効力を持ち続けているかどうかを試して楽しもうと思った。そして自分の死はもうすぐだと確信しているバルデル自身が、あらゆる武器の的になることを自分から承知したのだった。
 剣が彼に打ち下ろされたが彼を傷つけることはできなかった。彼に投げられた石はやわらかく跳ね返った。ナイフも彼には刺さらなかった。そしてすべての矢は彼に当たらなかった。神々はとても面白がった。
 宴会でほとんどすべての神々を敵に回し隠れていたローケは、藪の後ろに潜んでそれを見ていた。すべては終わったのだ。彼はもうアースゴードですることが無かった。彼はアーサの神々と一緒に暮らそうとしたのだがそれは無理だったのだ。オーデンは最初から彼の子ども達を追い出そうとした。あの義兄弟はそういう奴なのだ。さあ今は、ローケが同じことをする番だ。オーデンの子ども達を退治してやるんだ。
 ローケはちょっと笑い、細心の注意を払ってヤドリギで作った薄い彼の矢を削いだ。彼は神々がバルデルで遊んでいるのを朝の間ずっとよく観察した。そして神々の一人ヘーデルがずっとそれに加わらず横に立っているだけなのに気づいた。バルデルの兄弟であるヘーデルは目が見えなかったから、弓矢や槍を持っていなかったのだった。
 ローケはヤドリギで作った彼の矢を満足そうに眺め、それを彼のほかの矢と一緒にして一人ぼっちのヘーデルのところに行った。
「さあ、これを!俺の弓を取って他の奴らと同じように遊べよ」と彼は言った。「あんたがこの遊びに加わるのは当然のことだ。バルデルはあんたの兄弟なんだからな。さあ、これに触ってみろよ、、」と彼は言い、バルデルの手に弓と矢を握らせた。盲目のヘーデルは突然遊びに加わることができるようになってうれしくなった。
「バルデル、バルデル!これを見なよ!」と彼は自慢げに叫んだ。
 ローケは急いで矢の方向を定め、ヘーデルの手がそれを弓から放つのを手助けした。
 矢は狙い通りにバルデルの心臓に突き刺さった。彼は床に倒れ、一言も発することなく死んだ。
 野原では墓場のようにシーンとなった。ヘーデルだけが何が起こったのかを理解していなかった。
 周囲に抑えたような啜り上げを聞いたとき、彼はローケを探し宙を手探った。
「ローケ、どこにいるんだ?」と彼は不安そうに尋ねた。「なんか変なことが起こったのか?私は誰かを傷つけたのか?」

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