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2010年7月11日 (日)

北欧神話(70) 第十七章<海の神エーギルが宴会を催す>(2)

第十七章<海の神エーギルが宴会を催す>(2)

 ローケは彼女に向かって杯を掲げた。
「ありのままを言えよ、イードゥン!お前は他の男たちの言うことを聞くのが好きだもんな。お前は喜んで俺を追って森に入ってきたもんな、そうだろ?」
 イードゥンは賢くも勇気を持って黙ったままだった。
 オーデンが皿をテーブルに叩きつけたので広間中にその音が響き渡った。
「お前は気が狂ったのか、ローケ!」と彼は怒鳴り声で言った。「頭がおかしくなったのか?」
「黙れよ、オーデン!」とローケは押し付けられた獣のようにしゅうしゅう息を吐いていった。「そんな口をきける男か?魔法を使うくせに。恥知らずで男らしくないぜ!」
フリッグが目を見開いて立ち上がった。フレイヤが急いで彼女の脇に立った。
「お前は卑劣なことを言うのを注意したほうが良い、ローケ」とフリッグは冷たく言った。
「はっ!男狂いのフリッグと魔法使いのフレイヤを見ろよ!」とローケは鼻で笑った。「アースゴードでお前達から逃れて安全に歩ける男は一人も居ないぜ!」
 ローケはティールを振り返った。
「地獄に落ちろ、ティール!なんでお前は他の者のように杯を掲げないんだ?ああ、そうだった!俺の息子がお前の手を噛み裂いたんだったな。お前達があいつをだまして繋いでしまったときにな。かわいそうに!」
「お前も縛ってやる、この悪党」とフレイが叫んだ。
「何を持ってくるというんだ、フレイ?それを望んでいなかった巨人の娘を買ってからなにか残っているのかい?」とローケは侮辱して笑った。
 シフがローケのところに行き、落ち着くように言った。
「さあ、もっと蜜酒があるわ。私のことをとやかく言わないで居てくれてうれしいわ」と彼女は彼の耳元でもごもごと言った。
 ローケは大笑いした。
「はは!あんたと俺はいつもあんたの寝室で楽しくやっていたからなぁ!」と彼は皆に聞こえるように叫んだ。
 そのとき、トールが広間に入ってきた。彼は心配そうな視線を真っ青な顔色の妻に向けた。
 ローケが境界線を越えてしまったことが皆にわかった。
「さあ、遊びは終わりだ、哀れな奴め!」とトールはうなり、ハンマーを掲げてローケに歩み寄った。「ミヨルネルがお前の生涯の最後のキスを与えるだろう!」
ローケは椅子に座りながら後ろに身を傾け、ゆっくりと落ち着いて周囲を見回した。
「お前なんか恐れはしない、トール」と彼は馬鹿にしたように笑った。「お前はスクリメルの弁当の縮んだ紐を解くことさえできなかったんだからな。」彼は突然わざと恐怖で震えるようなしぐさをした。「ふううう!ユートゴードでお前の足元の地面が揺れたときは怖かったな、トールちゃんよ。」
 トールは打ち下ろそうと考えているかのように見えたが、ローケはこれで終わりにするという印に手を上げた。
「俺は行くよ。お前は俺を撃ち殺すだろうからな。」
 神々は黙って身を寄せ合って座っていた。オーデンは苦虫を噛み潰したような表情をしたがローケを無視することにした。彼には後で罪を与えればよい。
 ローケは立ち上がり海の神エーギルにお辞儀をした。
「ただ一回だけのビールの宴会をもつだけだったな、エーギル。これ以上はもうないだろうよ。火がお前の持つものすべてを奪うように。炎がお前の尻を焼くように!」
 そしてこれらの言葉とともにローケは広間を去ったのだった。

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