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2010年7月11日 (日)

北欧神話(68) 第十六章<トールが力が強いばかりではないことを証明する>(2)

第十六章<トールが力が強いばかりではないことを証明する>(2)

「それについては私はすべてわかっている」と小人は満足して答えた。
「地球はなんと呼ばれているか知っているか?」とトールは興味を持って尋ねた。
「人間は地球といい、あんたがたアーサの神々はフォルドと呼び、ヴァーネの神々はヴェーガルと呼ぶ、巨人達はそれを常に緑のものといい、妖精達は芽生えの元と呼び、イグドラシルの樹の高みに居る他の者達はあの下のところのごみと呼ぶ」と小人は答えた。
「それはよい答だ。記憶にとどめて置こう。では空はどうだ?」
「空と人間は呼び、暖めるものとアーサの神々はいい、風をつむぐものとヴァーネの神々は呼ぶ。巨人達は上の世界といい、妖精達は色付き屋根と呼ぶ。我々小人達は滴りの部屋という。空から雨が来るのだからね」と小人はぺらぺらしゃべった。
トールは感心したようにうなずいた。
「とてもよい。雲、太陽、月、水の呼ばれ方についても知っているか?」
小人は身を正して深呼吸をしてから開始した。
トールは地面に座って小人が言うことを注意深く聞く間草を噛んでいた。
小人が話し終えるとトールは承認するようにうなずいた。
「お前はその名にふさわしいな」と彼は言った。「私はあといくつか聞きたい言葉があるだけだ。風、なぎ、火、森、そして夜だ。穀物とビールで締めくくってくれ。私があとで良く思い出せるように。」
 小人はどの言葉を翻訳するか思い出すのに夢中になり、そして直ちに風の翻訳を始めた。トールやあちこちで質問をはさんだが、アルヴィスは穀物とビールまでたどり着くのに成功した。
「穀物は人々はビュッグと呼ぶ」と彼は始めた。「あんたたちアーサの神々はコーンといい、ヴァーネの神々は草と呼ぶ。巨人達は単純にそれを食物と呼んでいる。妖精達はそれをビールを作る者たちの手助けと呼ぶ。ヘルでは下向きのがらくたという。そこではごみだけが大きくなるのだからね。」
 小人はトールが記憶にとどめるためにそれらの言葉を復唱するのを見た。
「ビールもそうだ」と小人は続けた。「人間はビールといい、ビーエルとあんたがたアーサの神々は呼び、ヴァーネの神々は飲み物という。巨人たちは澄んだ海と呼ぶ。彼らが飲む量を考えればその名の由来がわかるというものだ。ヘルでは蜜酒と呼び、岩山のトロル達は酔っ払いの元という。」
 アルヴィスがヘルでビールがなんというかを説明したときに森の端から太陽が昇った。白い肌の小人は恐怖に駆られて東の方に眼を向けた。そして彼の赤い唇からひゃーという音が飛び出した。
 トールは興味深く彼を観察した。
「そうだ、アルヴィス。私はこれまで言葉の力についてまったく聞いたことは無かった。けれどもお前の高慢はお前を倒してしまったのだ。朝の太陽が気持ち良く差し込んでお前の青白い皮膚はもう岩肌のようになりはじめている。」
 トールが言ったように小人は石になってしまった。トロルのように小人も太陽の光の中には居られないのだから。
 トールはこのことによって知恵を使って自分の娘を嫁にやることから逃れることができた。アーサの神トールはその力強さで有名だけれど、力のほかにも覚えておくべき特徴があるのだと私たちは知ったのだった。

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