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2010年7月11日 (日)

北欧神話(65) 第十五章<トールのハンマーが盗まれる>(2)

第十五章<トールのハンマーが盗まれる>(2)

 金の首飾りの部品が床に転がったとき、広間は水を打ったようにしんとした。神々と女神たちは床をじっと見つめ、ヘイムダールはオーデンの息子ヴィーダルに言葉をいくつか囁いた。
 ローケは耳が良かったのでその言葉が聞けた。
「そう、そうすればいいんだよ!」と彼は叫んだ。「とにかくトリムに花嫁を一人送ればいいんだ。」
 フレイヤはローケを冷たい視線で見たが、彼はそのまま続けた。
「トールがその麗しい花嫁になればよいと提案された。彼は花嫁衣裳とヴェールに身を包み、印のためにフレイヤの首飾りをつければいいんだ」と、ローケはトールのたくましい方を激励するように叩いた。
「僕はヴェールをかけたお付きの少女になって付いていこう」と彼は付け加えた。
 トールは迷惑そうに振り返ったが、ハンマーを取り戻すにはこれしか方法が無いとローケが説得すると最後には合意した。
「婚儀の際にトールのハンマーに似たハンマーを花嫁の膝の上に置くのが習慣だから」と彼は言った。
 ローケの提案はオーデンを喜ばせた。彼はフレイヤが心配そうに床から拾い上げたばかりの首飾りをいじるのを見て少し微笑んだ。彼女はそれを貸し出したくないのだ。彼はどうやって彼女がそれを手に入れたのか知らなかったし、知りたくもなかった。フレイヤは欲しいと思ったものはどんなことをしても手に入れるたちだったから。飾りにしても男にしても。オーデンは耳をふさぎ、細かいことは聞きたくなかった。
 しばらく議論した上で、ローケの提案は合理的であると神々の意見が一致した。巨人は確実にトールのハンマーを自分自身の婚儀の宴会に出してくるに違いない。彼らは結婚が行われるようになるということを伝えるために直ちにヨートゥンヘイムへ使いを出し、情熱的にどうやって嫌がる花嫁と麗しい付き人の少女に化粧したらよいかの計画に取り掛かった。

 そしてフレイヤとトリムが結婚するときが来た。トールはいやいやながら彼の胸に一組の丸い石を取り付けることに同意した。そして苦虫を噛み潰したような顔をしながらも花嫁衣裳に身を包んだ。鍵を通した長い銀の鎖が花嫁衣装のブローチのひとつに結ばれた。そして最後に彼はフレイヤの大々的な首飾りを首の周りに巻いた。神々と女神たちはその結果にとても満足した。
 そのたくましい花嫁と彼の付き人の少女が巨人の国に着いたとき、トリムと彼の親族たち皆は彼らにようこそと歓迎の言葉をかけ、テーブルに案内し、トリムの両隣に座らせた。

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