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2010年7月11日 (日)

北欧神話(63) 第十四章<バルデルが悪夢を見る>(3)

第十四章<バルデルが悪夢を見る>(3)

「もっとしゃべってもらわねばならぬ!」と彼は言った。「誰がヘーデルの後ろで糸を引いているのだ?」
「あんたの息子のヴァーレだよ!」と幻影はガアガアと声を搾り出し、大きな声で笑った。
「生まれるその日から彼は兄に復讐するのだ。もうこれ以上しゃべらさないでくれ。私の住居に戻らせてくれ、オーデン!私達はまたいつか再会するだろうよ、時が来ればね。」
 オーデンは一言もしゃべらずに会話が終了したことを示すために魔法の槍を引き抜き、幻影を地下に戻らせた。

「私の言ったとおりになるわ。すべての生きているもの、すべての植物にバルデルを傷つけないと約束させるのよ!」とフリッグは、オーデンがヘルで知ったことについて聞いたときに、いらいらして言った。
 オーデンは考え深くうなずいた。
「お前は正しい。ヘーデルは自分の意思で兄弟を殺害しようとするやつではない。誰か別に彼を操っているものが居るのだろう。あるいは彼に魔法をかけているのかもしれない。誰が後ろに居てもおかしくない。」
「ええ、誰ではなく<何>がかもしれないわ」とフリッグは言った。「すべてのものが誓いの言葉を言うように使いのものをすぐ派遣しましょう。」
 その妻と夫は広間の長いテーブルについて、長いリストを作った。そこには彼らの息子に害を与えうるありとあらゆる者が載っていた。巨人、小人、黒妖精、人間、石、世界中のすべての草までも、そのリストに載っていた。
 彼らがその作業に没頭している間、悪意を持って彼らの会話を盗み聞きしている生き物が居た。
 オーデンとフリッグは自分たちの仕事に心を奪われていたので、窓の外のかすかな音に気づかなかった。作業が終わり、オーデンが誓いの言葉を集める手伝いを頼むために出かけようとすると、広間の入り口にローケが座っており草を噛んでいた。
 オーデンは彼に挨拶をしてからヴァルハラに向かっていった。
 そのすぐ後で一人の女性がフリッグの扉のところにやってきて、ノックをした。家来が扉を開いた。
「親愛なる女王様」とフリッグのところまで案内されると、その見知らぬ女は挨拶した。「私達は愛する若きバルデルを助けることができるのでしょうか?女同士のよしみで、私にそのためにどのリストを使うのかをお知らせくださいな」とその女は言った。それは女装したローケ以外の何者でもなかった。
「私達はすべての生き物と物に私たちの息子に害を与えないように約束させるのです」とフリッグは言った。
「それは良い考えです」とその見知らぬ女は言った。「その約束を取り付けるには大変な時間がかかるでしょうね。誰もなにも漏らさないようにするには、、、」
 フリッグは満足しているように見えた。
「すべてのものに約束を取り付けるのは大変な仕事です。けれどもそれが成し遂げられたのなら私以上に喜ぶものは居ないでしょう。私はちょっと前に二階の箱の中にしまわれた小さな草を忘れていたことを思い出したのです。ヤドリギをね。けれどもそれは幼いし、やわらかいしバルデルに害を与えるとは思えないですから」とフリッグは微笑んだ。
 ローケは嘘の微笑を浮かべ、女王に幸運を祈ると言い、彼女のところを辞した。これはつまりバルデルの守りには弱点があるということだ。彼にはそれをどのように活用するかを考えるための時間がたっぷりあるのだった。 

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