フォト
無料ブログはココログ

« 北欧神話(59) 第十三章<フェンリスウルヴェンが縛り付けられる>(2) | トップページ | 北欧神話(61) 第十四章<バルデルが悪夢を見る>(1) »

2010年7月11日 (日)

北欧神話(60) 第十三章<フェンリスウルヴェンが縛り付けられる>(3)

第十三章<フェンリスウルヴェンが縛り付けられる>(3)

「お前はまたそれをはずせると思うよ。でもできなかったら私たちがとってやるさ」と神達は嘘をついた。
「俺が解けなかったらあんた達が解いてくれるというのは信じられないな」と狼は言った。「でもあんたたちの一人が俺の口の中に手を入れることができたら望みどおりにしてやろう。」
神達は黙って互いに顔を見合わせた。どちらも手をなくすという危険にさらされたくはなかったから。
狼は鋭い犬歯を見せて軽蔑の笑いを浮かべた。
するとティールが進み出て右手を狼の口の中に入れた。
狼は涎を垂らしながら大きく口を開けて差し込まれた手の周りでそれを閉じた。
トールがその細いバンドを狼の周りに結ぶと、狼は背を丸めて筋肉を硬くした。彼が力を入れれば入れるほど、バンドはより強固に彼を締め付けた。フェンリスウルヴェンはだまされたと知り、顎を閉じた。
ティールは真っ青になり、一言も言わずに後ろずさった。
トールはバンドの端を岩に結びつけることに成功していた。そしてフェンリスウルヴェンが彼に襲い掛かろうとしたとき、大きく開かれたその口に剣を突っ込んだ。柄は狼の下あごに刺さり、切っ先は上あごに刺さった。フェンリスは口を開きっぱなしで居なければならなかった。
その日からずっと狼は遠方の島に繋がれたままになった。けれどもその開いた口からは涎は川のように流れ出ていた。そして勇気ある神ティールは片方の手が残っているだけだった。

« 北欧神話(59) 第十三章<フェンリスウルヴェンが縛り付けられる>(2) | トップページ | 北欧神話(61) 第十四章<バルデルが悪夢を見る>(1) »

北欧神話」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/561891/48851620

この記事へのトラックバック一覧です: 北欧神話(60) 第十三章<フェンリスウルヴェンが縛り付けられる>(3):

« 北欧神話(59) 第十三章<フェンリスウルヴェンが縛り付けられる>(2) | トップページ | 北欧神話(61) 第十四章<バルデルが悪夢を見る>(1) »