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2010年7月11日 (日)

北欧神話(58) 十三章<フェンリスウルヴェンが縛り付けられる>(1)

十三章<フェンリスウルヴェンが縛り付けられる>(1)

 オーデンの賢さは吟遊詩人の蜜酒を飲んでからさらに大きくなった。そして彼は突然、ローケの子どもたちが危険だと言うトールが正しいということを悟ったのだった。最も急がねばならないのはフェンリスウルヴェンを縛り付けることのようだった。ミッドゴードの蛇とヘルは今のところアースゴードとは離れたところに居るが、フェンリスウルヴェンは彼らの中に居るのだ。彼はいつでも神々に襲い掛かることができる。
 オーデンは相談のための集まりを召集し、重要なことを決める会議場である運命の泉へと急いだ。
「トネリコの枝の数よりも多い蛇が居る。賢くない猿は気づかないが」と彼は皆が集まったときに苦々しく言った。
 神々と女神達は深刻な顔で座っていた。今のようにオーデンが謎かけの形で話すときにはとても気をつけて聞き入らねばならない。彼が言うトネリコの根の下に住んでいる蛇は確かに悪の種類だろうし、賢くない猿というのはその蛇を見てもその悪に気づかないものの事を指すのだろう。彼らはそのようにオーデンの言葉を解釈した。けれども彼は誰のことを話しているのだろう?
 泉の岸辺に立っていた三人の運命の女神達は、運命の糸をつむぎ続けながらオーデンの言葉を聞いていた。彼女たちはもちろん自分たちが知っていることは決して語らなかった、いつものように。彼女たちが常に織り続ける運命の織物は未来の絵を描き出すのだけれど、誰もそれを見てはいけないのだった、オーデンさえも。
 一羽の白鳥が泉の水面を滑ってきたが、それ以外は静かだった。
「我々は今日にもフェンリスウルヴェンを繋がねばならない」とオーデンが言った。
 ティールが話すために立ち上がった。
「今日でも早すぎることはない」と彼は言った。「日に日に狼は気まぐれになっている。命を危険にさらすことなしに彼に近づくことができないくらいだ。彼に食事を与えるときに私はかなり怪我をする。」
 ティールは片方の袖をめくり、彼の肘から下の腕全体にまたがっている、まだ赤い血の跡がついている三つの深い傷を見せた。
 神々はびっくりして彼を見た。
 ローケは他の神々がティールの傷を見ているうちにその場を逃げ出した。オーデンは以前と同じように彼を裏切ったのだ、と彼は考えた。あの義理の兄はいつもそうなのだ。彼はフェンリスになにが起こるかを聞かなくて済むようにそこから逃げ出さねばならなかった。
 神々の間でいろいろな解決策が協議され、少し経った後で、強力な縄をなわねばならないと言うことで意見の一致をみた。世界の果てに狼を繋ぎとめるだけの強さを持った縄を。
 神々はすぐにその作業に取り掛かり、直ちにとても太い縄を作り上げた。それはアースゴードでそれまで誰も見たことの無いような太さだった。

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