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2010年7月11日 (日)

北欧神話(55) 第十二章<オーデンが吟遊詩人の蜜酒を持ってくるのに成功する>(1)

第十二章<オーデンが吟遊詩人の蜜酒を持ってくるのに成功する>(1)

 アースゴードでは大きなニュースが響き渡っていた。神々は魔法のように美味な酒、吟遊詩人の蜜酒がスットゥングという名の力持ちの巨人の岩室に隠されているということを知ったのだった。すべての神々はその魔法のように美味な蜜酒を巨人から救わねばならないということで意見が一致した。そして神々はオーデン自身がそれを救い出してくることを決めた。
 オーデンは、ヨートゥンヘイムへ向かって旅立とうするとき巨人に姿を変えた。巨人の姿をしていれば簡単に道を聞いてスットゥングにまでたどり着けるだろう。
 オーデンは他の神々に手を振ってから、巨人国の険しく、荒れた山に向かった。
 山を越えると彼はそのうちに9人の男が牧草を集めている大きな畑に差し掛かった。彼らはヨートゥンヘイムに良い収入の出稼ぎに来ている人間たちだった。
 オーデンが近づいてみると彼らはとても疲れていた。
「そんな大変な仕事を誰のためにしているのだ?」と彼は尋ねた。
「巨人バウゲのために草を刈っているんだよ」と一人が言い、疲れ果てて鋤に体をもたらせた。真っ青な空から太陽が無慈悲に彼らを焼き、彼は腕で額の汗をぬぐった。
「おやおや、バウゲかい。その名は聞いたことがある」とオーデンはゆっくりと言った。
「ああ、巨人バウゲは」とその男はうなずいた。「例の力持ちのスットゥングの弟なのさ。彼の仕事はきついんだ。彼は天気が変わる前に牧草を全部刈らなくちゃならないんだ。」
 オーデンは思慮深くうなずき、その男のぼろぼろの隙を見せてくれと近寄った。
「仕事を終えようと思ったらもうちょっと砥ぎ澄まされた鋤を使うべきだ」と彼は言い、ベルトに下げていた砥石を手に持った。「といでやろう。」
男は喜んで申し出を受け入れ、他の仲間を呼んだ。
一人一人、今までに見たことも無いような鋭く砥ぎ澄まされた鋤を手に入れた。彼らはこの見知らぬ男の砥石のおかげで残りの仕事は躍るように簡単に済むということを悟った。砥石は普通のものではないということがたちまちわかり、皆がこの砥石を買いたがった。彼らは互いにいくらで買うぞ、と口々に叫び始めた。
オーデンは彼らの喧嘩に肩をすくめ、砥石を空中に投げ上げた。そしてわきにどいて、何が起きるかをしかめっ面で眺めた。
 男たちは最初、投げ上げられた砥石を睨んでいたが、すぐに押し合いへし合いして砥石を手に入れようとした。しかし皆、自分たちの鋭い鋤を空中に投げたことを忘れてしまったので、そのうちにオーデン以外のものはすべて鋭い刃に当たって死んでしまった。
静寂が訪れるとオーデンは自分の砥石を拾い、畑に背を向けた。そして少し歩いてバウゲの農場まで行き、扉をたたいた。
扉を開けたのはバウゲ自身だった。オーデンが一夜の寝床を願うと、バウゲはうなずき、寝場所に案内した。

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