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2010年7月11日 (日)

北欧神話(54) 第十一章<ローケが二兎を得る>(5)

第十一章<ローケが二兎を得る>(5)
 
 「全部だ!」とローケは叫んだ。
 「けれど、この指輪で金を作れるのはわしだけなんだ。お慈悲じゃ、わしにこれを残してくれ。」
 ローケは小人の願いを無視して、哄笑しながら彼の指から指輪を抜いた。
「金を残さしてくれないんだったら、わしは怒り狂う」と小人は言った。「兄弟が二人死に、8人の王子たちが戦いにいく羽目になるだろう。それを楽しむのはわしだけだろう。」小人は怒ってローケの前の地面に唾を吐いて、石の中に姿を消した。
 ローケがレイドマルの家に戻ると、神々はかわうその皮に金を満たし、それが立つようにした。そしてその後ほうほうのていでそのかわうその周りに金を積み上げて、かわうそが見えなくなるようにした。
 レイドマルは彼らの仕事を注意深く見つめていたが、それが終わると検査をした。
「ここ!」と彼は言った。「ここにわしの死んだ息子の髭が見えている。隠せ!」
 金はもう無かった。神々は意気消沈して見回した。髭を隠すくらいのほんの少しは金は無いものか。
オーデンは、ローケがこっそり彼の指にはめてくれていたアンドヴァーレの美しい指輪をしぶしぶ外した。これでもうウッテルの姿は見えなくなったので、レイドマルは神々を解放した。
ローケは立ち去るときに、傷跡のある唇をゆがめて意地悪な表情を浮かべて振り返った。
「アンドヴァーレは金に呪いをかけたぞ。お前にはなんの得も無いぞ。お前の友やまだ生まれていない子孫に不幸が訪れるのだ。」
「わしは金をうまく使うさ」とレイドマルは自信を持って答えた。彼は貪欲な二人の息子たちの顔に直ちに表れたずるがしこい表情に気がつかなかった。
 そう、レイドマルはそう言ったのだった。かれども彼はこの言葉を後悔することになるのだ。アンドヴァーレの金への呪いはこれから永遠に続くのだった。

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