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2010年7月11日 (日)

北欧神話(48) 第十章<フレイが愛で満たされる>(1)

第十章<フレイが愛で満たされる>(1)

 そう、巨人と神の間に愛が生まれるのはそれほどまれなことではなかった。ニョードとスカーデの結婚で息子として生まれたフレイは、そのことについてどうしてそうなったのかをずっと考え続けた。神と巨人はほとんどの場合互いに嫌いあっていたから。
 トールとローケが巨人ゲイレドのところから戻ってきたとき、フレイはオーデンに彼の玉座フリズカヤルフを貸してもらえるかどうかききにいった。そうすれば彼はどこでも見渡せるようになり、自分の姿は見られることなく、巨人たちをもっと良く観察することができるようになるから。
 フレイがオーデンの許可を得て玉座に座ったとき、彼は岩だらけのヨートゥンヘイムに目をやった。まったく美しくないところだ、と彼は最初に思った。そしてそれから彼は視線を滑らせて、巨人たちの家や庭を眺めた。ゲイレドのところでトールがめちゃくちゃにした跡を見たけれど、彼はそれには関心を示さず、さらに奥のほうに視線を移した。庭に出ている男巨人たちはまったく醜かった。女巨人たちもほとんど同じだった。けれども彼の視線はふと一人の女巨人に止まった。
 フレイは心臓がいつもの二倍の速さでどきどきするのを感じた。彼がこれまで見たことのある最高の美しさを持つ女性のうちの一人だ!彼女の裸の腕、彼女の肌、そして彼女の長い髪は太陽の光の中できらきらと光っていた。フレイは息が止まりそうになった。彼は彼女に会わねばならない!けれどももちろんそれは不可能だった。僕たちは絶対に互いを手に入れることはできない、と彼はがっかりして考えた。
 フレイはため息をついてオーデンの玉座から降りて、彼の父の砦ノアトゥンにいき、孤独に膝を抱えた。それから数日は彼の姿は見えなかった。
 ニョードは彼の息子の陰気な表情を心配した。彼はフレイの優秀な家来であるシリネルをよんで、感じやすい彼の息子に何が不足なのかを注意深く調べるように頼んだ。
 ある晩、シリネルは彼の主人と二人きりだったので機会を捉えて聞いた。
「ねえ、フレイご主人様、なぜ一日中一人きりで座っているんです?」
「なぜ、お前に私の悲しみを話さねばならぬ?いかに太陽が力強く輝いているとしても、私の気持ちほどではないに」とフレイは燃えるように熱心に言った。
「ああ、わかりました。愛ですね!」とシリネルは言った。「私たちは一緒に育ったんですから、全部話してくれたっていいっていうことはあなたにもわかっているじゃありませんか」
フレイはうなずいた。「ある女性を見たんだ。でも私達は絶対に一緒になれないんだ。」
シリネルは意を決したように立ち上がった。
「あなたの馬と、あの自分で自分を振り回すことのできる刀を貸してください。私は夜を徹して駆け、彼女と話をつけてきましょう、彼女がどこに住んでいるとしても」
「彼女はヨートゥンヘイムにいるんだ、友よ」とフレイは暗い表情で言った。
「それでも私は行ってきますよ」とシルネルは勇ましく答えた。

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