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2010年7月11日 (日)

北欧神話(44) 第九章<ローケが巨人ゲイレドに捕まる>(1)

第九章<ローケが巨人ゲイレドに捕まる>(1)

 ローケは、トールのハンマーや、折りたためる舟やその他の小人達が作った神々への魔法の贈り物を提供したおかげでオーデンにほめられたので満足していた。一目置かれるということは気持ちが良いものだ。彼は自分自身に褒美をやろうと、フレイヤの鷹の羽を盗んでちょっと空を飛んで楽しもうと決めた。彼はこれまで何度も鷹のしたくを借りていたので、そこに忍び込み、着替えるのはたやすかった。
 アースゴードの岩壁の上を何度も飛んだ後、彼は昔の故郷が恋しくなり、ミッドゴードを過ぎ、ヨウトゥンヘイムの高山をめざした。彼は巨人の息子であり、特に巨人の国を懐かしむ気持ちが残っていたのだ。
 ローケが年取った巨人ゲイレドの家の庭の上を飛んだとき、彼は館の扉が開いているのに気づいた。けれども庭には誰もいなかった。彼は持ち前の好奇心に刈られ、窓穴のひとつに着陸した。彼が中を覗き込むと、ゲイレドが暖炉の前に座って食事をしていた。
 そのときゲイレドは鷹が目に入った。
「皆の衆!」と巨人は叫んだ。「鷹だ!窓穴のところの高みにいる。捕まえろ!」
 ローケは楽しい鬼ごっこが始まるみたいだと思って、鷹の衣装を着たまま笑った。
 ゲイレドの家来の一人が困難を極めながら、窓穴に向かって壁を登り始めた。ローケは彼がもうちょっとで届くというときまで待つことにした。彼が捕まえようと手を伸ばしたときに飛び立つつもりだった。
 けれどもローケが考えるとおりにはことが運ばなかった。彼が捕まる直前に馬鹿にしたように飛び立つために羽を開こうとしたとき、彼は前につんのめってしまった。彼の鷹の爪が穴に埋まってしまっていたのだ。
 ローケはくちばしを壁にひどくぶつけたので彼の目には星が輝いた。そしてその場所に彼はさかさまにぶらさがったままになってしまった。ふらふらして動くことができずに。
 人々は簡単に彼を捕まえ、ゲイレドに手渡した。
 ゲイレドは捕まえられた鷹の目を見るとすぐ、これは普通の鳥ではないということがわかった。
「わしの魔法の力を計算に入れていなかったな」と彼は言った。「お前は誰なんだ?」
 ローケは黙っていた。彼は自分のいたずらを公開したくなかったのだった。
「もう一度だけチャンスをやろう」とゲイレドは通達した。
ローケは黙っていた。
 ゲイレドはすると捕まえた鳥を小さな箱の中に閉じ込めた。その中で鷹は、つまりローケはじっと座ったままでどんどん空腹になっていった。
 3ヵ月後、彼はとてもおなかがすいた。
 ゲイレドがやせ細った鷹をつまみあげたときには、鷹はとても饒舌になっていた。
「おやまあ、お前はローケだったのか?」と巨人は無愛想にうなった。「なんでお前は自分の仲間に悪さをするんだ?」
 答えは無かった。

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