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2010年7月11日 (日)

北欧神話(30) 第五章<巨人スカーデが足を選ぶ>(2)

第五章<巨人スカーデが足を選ぶ>(2)

数人の神々がぴんと張られた麻の布の後ろに彼らの足だけが見えるように立たされた。
 一番左に大きな力強い足があるのがスカーデに見えた。続いて指が異常に長いとんがった足が見えた。スカーデはそれは気に入らなかった。三番目は腫れたように短く幅広で、それから、すばらしく良い形をした足が見えた。スカーデは魅入られたようにその足に見入った。そしてこの足はバルデル以外の神のものではないと思った。彼女は残りの足にもチラッと視線を走らせたが、どれも彼女が今見たばかりの足にかなうものは無かった。
 スカーデは彼女が望む足を指差し、覆いが下げられた。
 神々の姿が現れるとスカーデは息を呑んだ。彼女が選んだのはバルデルの足ではなくて、ニョードの足だったのだ!バルデルほどには美男子ではなかったがs、ニョードは優しそうで見ていて心が和んだ。だからスカーデは満足し、数日後アースゴードでは結婚式が行われた。
 ニョードの家、つまり彼の愛するノアトゥンの砦は海に突き出した岩の半島の先にあった。そこに彼は花嫁を連れて行った。けれども、時々夜に狼の遠吠えが聞こえるだけの静かな山の頂上に慣れているスカーデは、湿気とかもめの叫ぶような鳴き声に我慢ができなかった。彼女が元の家を恋しく思う気持ちがどうしようもなくなるくらい大きくなるまでに数週間もかからなかった。彼女はニョードにトリムヘイムにある彼女の家に一緒に来ない?と誘った。彼がそこで居心地良く暮らせるかどうかを試すために。
 ニョードは出発したときには機嫌が良かった。彼はヨートゥンヘイムの山岳地帯に向かった日、彼の花嫁がそんなに幸福そうな様子であるのを今まで見たことが無かったのだった。けれども彼はそこの厳しい寒さが好きではなかった。そして滑りやすいスキーに彼の足をくくりつけると、彼の力やすばやさが消し飛ばされてしまうように感じた。スカーデのために彼はトリンヘイムへ向かったが、彼が後にした海から遠く離れれば慣れるほど彼の気持ちは暗くなった。
 スカーデは夫が悩んでいるのに気づかなかった。彼女は冬ウサギや雷鳥を嬉々として撃った。彼女の頬は新鮮な山の空気で桃色に染まった。
 トリムヘイムで数週間過ごしただけで、ニョードは山に閉じ込められるように感じたので、広い青い海に戻らねばならないと説明した。
 何度か両方の家を行ったり来たりしてから、二人は仲のよいまま別れることにした。
 そうさ、アースゴードでもうまくいかない結婚もあるのさ。けれどもつらい事件にもかかわらずうまくいく場合もあるのさ-トールとシフの場合のようにね。

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