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2010年7月11日 (日)

北欧神話(26) 第四章<ローケが巨人チャツセとけんかをする羽目になりイードゥンが誘拐される>(4)

第四章<ローケが巨人チャツセとけんかをする羽目になりイードゥンが誘拐される>(4)

 翌日イードゥンが会議場から家に戻ったとき、ローケは彼女のりんごの木の庭で彼女を待っていた。
「ローケ、私より先にここに戻っていたなんて!」イードゥンはうれしそうに叫んだ。彼女はローケのところまで歩み寄って彼のぐたぐたに傷ついた顔をそっとなでた。「どうやってこんなに青あざを作ったの?どんなことにまきこまれたの?」
「別になんでもないさ」とローケは言い放った。「この間アースゴードの外壁の外の森の中で道に迷ったんだ。とげのある藪やなんかが行くてを阻んだのさ。ところで、ちょっと平らになったところですばらしいりんごがなっている木が生えているのを見つけたんだ。想像できる?君の木になっているのと同じくらい素敵なりんごだぜ。君はあれを見にいかなくちゃ!」
 イードゥンはその青い目を見開いた。
「同じくらい美しいりんごだというのね。私、それをみたいわ!」
彼女は嬉々としてローケに続いた。ローケは彼女の手をとってアースゴードの外壁の入り口まで連れて行った。
彼らが外壁の外に出るや否や、ざわざわいう音が聞こえた。大きな鷲が彼らの上に襲い掛かるように舞い降りてきたのだった。イードゥンはそれが彼女をつかみ上げたとき、恐怖の叫び声を上げた。彼女は痙攣するかのようにりんご籠を抱きしめた。
ローケは一人取り残され、鷲がその爪にイードゥンをつかんでヨートゥンヘイムの最高峰に向かって高い空を飛んでいくのを見つめていた。

イードゥンの夫ブラーゲはもちろんすぐにイードゥンがいなくなったのに気づいた。アーサの神たちは彼女を探し始めたが、どんなに探しても彼女を見つけることはできなかった。
りんごの効果がなくなったのを彼らが気づくのに数日もかからなかった。オーデンのひげは白くなり、トールのたくましい筋肉は弾力を失いへなへなと垂れ下がり始め、フレイヤのお尻はずんずん大きくなり、バルデルはその金髪が大きく抜けた。
神たちは互いを恐怖の目で観察した。彼らが一山の弱々しい老人に変わってしまうまで何日もかからないだろう。オーデンは緊急会議を運命の泉の脇で開いた。
しわしわのヘイムダールが悲しみの満ちた声でこのところ目も耳も悪くなったが、イードゥンがいなくなる前にローケが彼女の庭でうろうろしていたのに気づいていたと語った。
ブラーゲと他の神々は威嚇するようにローケを見た。ローケは不安げに自分の老人のような手を見つめてつばを飲みこんでいた。
「僕は彼女がどこにいるかを多分知っていると思う」と彼は告白した。

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