フォト
無料ブログはココログ

« 北欧神話(19) 第三章<トールが巨人ヒーメルを訪れ魚釣りをする>(3) | トップページ | 北欧神話(21) 第三章<トールが巨人ヒーメルを訪れ魚釣りをする>(5) »

2010年7月11日 (日)

北欧神話(20) 第三章<トールが巨人ヒーメルを訪れ魚釣りをする>(4)

第三章<トールが巨人ヒーメルを訪れ魚釣りをする>(4)

醜い、怒り狂ったヒーメルがドアを開けて入ってきたとき、彼のひげに覆われた顔にこびりついたツララがガラガラ、がちゃがちゃ音を立てた。
「山の上は寒かったのね?」とティールの母は言った。「狩りはどうでした?あなたの留守中にあなたの義理の息子が尋ねてきてくれたのよ。お友達を連れて。あそこ、柱の向こうにいるわ。見える?」
ティールが見知らぬ友を連れてやってきたと知っただけで嵐の目を持つヒーメルはいらいらし、彼の視線は一瞬にして鋭くなり、彼の妻が指差した柱を見つめたときには、その柱が乾き腐った薪のように粉々になったほどだった。家中が揺れ、女巨人の8つの鍋が、かけてあった壁から、がんがんと大きな音を立てて落ちた。一つを除いて全部の鍋が壊れた。壊れなかったのは一番大きい鍋で、トールはそれをエージルのところへ持っていこうと思っていたものだった。
ヒーメルの嵐の目の力はもうなくなっており、彼の美しい妻が、ごちゃごちゃになったところを嘆いているのを見る視線はやさしくなっていた。彼は妻におべっかをつかいはじめ、農場の下働きのものたちに雄牛を3頭屠らせ彼の義理の息子たちの帰還をきちんと祝おうと大げさに言った。
ヒーメルは急いで外に出ていき、それから自分自身で肉を用意し、それらはすぐに食卓の上に乗った。
トールとティールはようやく隠れ場所から出て、食卓につくや否やおなかのすいていたトールは雄牛の二匹分を大満足で平らげた。
ヒーメルはそのほっそりしているのにものすごい食欲の客を見つめた。
「おやおや、これからしばらくわしたちは魚と野生動物を食べて過ごさなくてはならないかもしれないなぁ」とシュッと息をはいて言った。
ティールの母は彼の言葉が聞こえない振りをした。彼女は息子が尋ねてきてくれたのがうれしくて、議論なんかしたくなかったからだ。
トールは彼のひげをぬぐうとヒーメルの方に向きを変えた。
「もしあなたが魚釣りに行くなら私もついていきます」と彼は言った。
「ああ、君もついておいで。もっと食料を手に入れなくちゃならないんだから」と巨人は不機嫌に言った。「けれども君自身が家畜牧場でえさをみつけてこなくちゃいかんよ」
トールはうなずいた。
「もし私があなたの釣りを手伝ったら、多分あなたは私に一番大きい鍋を貸してくれるでしょう。エージルが宴会のためにそれを必要としているんです」
ヒーメルは肉をかむ間に何かもごもご言ったが約束はしなかった。

« 北欧神話(19) 第三章<トールが巨人ヒーメルを訪れ魚釣りをする>(3) | トップページ | 北欧神話(21) 第三章<トールが巨人ヒーメルを訪れ魚釣りをする>(5) »

北欧神話」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/561891/48851278

この記事へのトラックバック一覧です: 北欧神話(20) 第三章<トールが巨人ヒーメルを訪れ魚釣りをする>(4):

« 北欧神話(19) 第三章<トールが巨人ヒーメルを訪れ魚釣りをする>(3) | トップページ | 北欧神話(21) 第三章<トールが巨人ヒーメルを訪れ魚釣りをする>(5) »