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2010年7月11日 (日)

北欧神話(16) 第二章<トールが自分の力を魔術に優れる偉大な巨人ユートゴーダローケに試す>(11)

第二章<トールが自分の力を魔術に優れる偉大な巨人ユートゴーダローケに試す>(11)

翌朝、トール、ローケ、チャルヴェ、レスクワは慇懃に別れの挨拶をされた。トールは依然として頭をたれていた。誰も彼の敗北をからかったりしてはいなかったのだが。
ユートゴーダローケは客人たちにちょっと着いてこないかと誘った。かれらがすこしはなれたところまで進んでいくと、彼は突然トールを褒め称え始めたのだった。
「君の敗北をあまり真剣に受け取らないほうが良い、トールよ」と彼は言い始めた。
トールは顔をしかめ、いらいらして道を急いだ。ユートゴーダローケへの遠足は彼にとっては前代未聞の失敗だったのだ。彼は今望むことは一刻も早くそこから立ち去ることだった。
「あそこの山の傷が見えるかい?」と彼は聞いた。「あれは君がスクリメルを3回ハンマーで打ったときの傷だ。スクリメルは実際、わし以外の何者ではなかったのだが、君が打ったのは岩山だったのだよ。わしは幻影を作り出すのがとてもうまいのだ」と彼は説明し、トールの目をしっかりと見つめた。
「スクリメルの弁当の袋を覚えているかい?」と彼は続けた。
トールは疑いぶかそうにうなずいた。
「あれは普通の紐で結んでいたのではなくて、魔法の鉄ロープで縛られていたのだよ。あれはどこに手をかけるかを知らなければ絶対解けないのだ。どんなに力持ちであったとしても」ユートゴーダローケはトールの力溢れる手を調べた。
「そしてローゲ、あのローケが競った相手はわしの家来、何もかも飲み尽くす炎なのだ」と彼は言った。
ローケは憤って巨人をにらみつけた。
「チャルヴェが早足を競った相手のヒュージは、わしの思考だった。わしの思考は一番に来るのだ」
チャルヴェは理解できないというように大きく口を開けた。
「そして君が飲むときに使った角は、トールよ、他のと同じように見えたかもしれないが、海が満たされていたのだ。あのあと海面がずいぶん下がったと聞いた」と巨人はもごもご言った。
トールは頭を上げて、少しなだめられたかのようにユートゴーダローケを盗み見た。
「猫は?」と彼は尋ねた。
「君が見た猫は世界の海の長い蛇以外の何者でもない。あの蛇はどんどん成長して、今では世界の盤に絡み付いても身が余るほど長くなっているのだ」とユートゴーダローケは続けた。「そして君が取っ組み合った老人は老齢それ自身なのだ。あれには誰も勝てない。しかし君は良いところまで言った。それは認めねばならない!」
巨人はトールを尊敬の目で見た。
「さあ、ここでお別れだ。そしてもう二度と会わずに済めばよいことを願う。君はとても危険な相手だった」
トールは以前の自分を取り戻し始め、ベルトにつけたハンマーにそっと手を下ろし始めた。ユートゴーダローケはその動きを見て、人差し指をあげて警告した。
「わしの魔法の知識を忘れるでない!わしはわしのものであるものを守るためには手段を選ばないからな」
そして彼は突然消え、囲いも砦もすべてが消え去った。
ローケ、チャルヴェ、レスクワは何も無い野原の周りを見回した。少したってから彼らは互いに口の中でもごもご言い始めた。どの道が一番はやく彼らをそこから連れ去ることができるかということについて話し始めた。すぐに立ち去らねばならない、と彼らはトールの説明した。トールはまだ立ち去りがたくハンマーに手をかけていた。

                         (第二章完)

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