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2010年7月11日 (日)

北欧神話(15) 第二章<トールが自分の力を魔術に優れる偉大な巨人ユートゴーダローケに試す>(10)

第二章<トールが自分の力を魔術に優れる偉大な巨人ユートゴーダローケに試す>(10)

トールはその問いかけにすっくと立ち上がり、うなりながら力のベルトを締め、ユートゴードローケの前の床に足を幅広く開いて立った。
 ユートゴーダローケは彼の意欲をからかうように冷笑し、部屋の隅で寝ている灰色の猫を指差した。
「あの猫を持ち上げるのは子どもだってできることだろう」と彼は言い、耳の中を掻いた。
「だが、君の大きさを考えるともしかしたら、、」
 トールの目は怒りで大きくなった。彼はその大きな猫の尻尾を引っ張り、猫の腹の下に軽蔑するように手を突っ込んでその獣をつかんだ。
けれども彼が猫を持ち上げようとすると、猫は背中の毛を逆立てたのだ。トールが高く持ち上げようとすればするほど、猫は毛を逆立てるのだった。それが天井に届くまでになっても、トールは猫を持ち上げることはできず、前足をわずかに持ち上げることができただけだった。
ユートゴーダローケはトールに同情するように言った。
「そら、わしの言ったとおりだろう?君がそんなに小さくなかったらきっと持ち上げられていただろうに」
小さい!その背の高い雷の神は向こう見ずな怒りが力強い雷のように体の中にそびえ立ってくるのを感じた。
「ああ、君はレスリングが好きだと言ったな」とユートゴーダローケは冷静に言った。「君のようなものにも簡単な課題を思いつける。エッレを連れてこい!」と彼は叫んだ。
そして年老いてびっこを引いている背中の曲がったおばあさんが部屋の中に入ってきた。
「ようこそ、親愛なる小さな養母よ」とユートゴーダローケは微笑んで、醜い歯を見せた。
難しい試練を受けているトールは声を失って老婆を見つめた。巨人の老婆は今にも死にそうだった!彼は老婆とレスリングをすることを拒否しようかと思ったが、そのとき老婆にぐいとつかまれてびっくりした。彼女はとても強かった。トールが強く引こうとすればするほど彼女はしっかりと立ち続けるのだった。
けれども老婆もトールを押さえ込むことはできなかった。彼女はため息をついていらいらして突然トールに足払いをして、彼を跪かせた。
ユートゴーダローケは満足して頷き、レスリングの終わりの合図をした。
トールはもはや目の輝きをまったく失っていた。彼の地に落ちた面目は際限が無かった。彼がそのとき望むことはユートゴーダローケの恐ろしい部屋を去ることだけだった。けれどもユートゴーダローケはトールの不機嫌に気づかないかのように、煌々と照らされた部屋の外はもう暗くなっているので、客人たちは一晩泊まっていくように強く勧めた。

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