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2010年7月11日 (日)

北欧神話(10) 第二章<トールが自分の力を魔術に優れる偉大な巨人ユートゴーダローケに試す>(5)

第二章<トールが自分の力を魔術に優れる偉大な巨人ユートゴーダローケに試す>(5)

トールは怖がらずに急いで前に進んでその巨大なものを調べ始めた。
それはまさに一人の巨人で、寝ているようだった。巨人のいびきが地面を揺らし、彼の吐き出す息で森の木々が折れるばかりに曲げられていたのだった。トールはその嵐のような大風を吹き返し、立っていることができるように巨人のマントの端を握った。 
 トールは本来は寝ているものをやっつけるというようなことはしなかったのだが、規則的にパタパタ揺れている巨人の鼻毛を見ているうちに、彼はその原則を崩しても良いような気がしてきたのだった。この大風と騒音を止めたら気持ちが良いだろう。未来永劫。
 トールはベルトからハンマーをやっとのことで取り出したが、巨人が目を開け、はっきり覚めた目でトールを見つめる前にそれを打ち下ろすのは間に合わなかった。
「お前は誰だ?」とびっくりしたトールは攻撃をやめてたずねた。
「スクリメルだ」と巨人は答え、トールの掲げられたハンマーを眺めて続けた。
「お前の名を尋ねる必要は無いな。お前はトールだ」
この時、ローケ、チャルヴェ、レスクワが目を覚まし、トールはいったいどこに行ってしまったのかと探しに出てきた。
巨人は体を起こし座りなおして、困ったような表情を見せた。
「わしの手袋の片方がなくなってしまった」と彼はぶつぶつ言った。
「ふむ。わしはどこかに置いたはずなのだが」
彼は突然満足した表情になり、腕を伸ばした。
「ああ、あそこだ!」
ローケ、チャルヴェ、レスクワは、恐ろしいことに彼らの寝床が建物ではなかったことに気づいた。それは巨人の手袋だったのだ。彼らが寝た横の廊下は親指だったのだった。
 巨人はあくびをして、手袋を取り出し、手にはめた。
「お前たちはユートゴードに行くところなのか?」と巨人はもごもごときいた。
「ユートゴーダローケに会うんだったら気をつけたほうが良いぞ。あいつはわしよりずっと荒っぽいやつだからな」
 ローケはその大きな巨人を見つめ、彼らの旅を続けるのが賢いことかどうか迷った。彼はトールに向かって振り向いて、引き返したほうが良いかもしれないね、とささやいた。けれどもトールは彼の言うことを聞かなかった。ユートゴードで彼を待ち受けている挑戦は、とても見込みがあるもののようだ。
巨人は静かに彼らの前の地面に座り続け、彼の古い皮袋の紐を解いてその中身をむしゃむしゃ食べはじめた。
トール、ローケ、チャルヴェ、レスクワは、その巨人の焼肉のにおいをかいで、空腹であることに気づいた。彼らは、ユートゴードに向かう前に何か口にするために、巨人からちょっと離れたところに座った。

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